そのコピー、「便乗商法」になっていませんか?~アンブッシュマーケティングと日本での法規制について~


こんにちは。企業法務を担当しているMickeyです。

ワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)が始まりました。
この原稿を書いている時点では、
まだ、どこのチームが決勝ラウンドに進むのかわかりませんが、
いずれにせよ、各国代表の素晴らしいプレーは、
きっと私たちを楽しませてくれることでしょう。

baseball

野球に限らず、これから2020年にかけては、
世界的なスポーツイベントが目白押しです。
2020年は言うまでもなく、東京オリンピックが開催、
その前の2019年にはラグビーのワールドカップも日本で開催されます。
そして来年、2018年はサッカーのワールドカップの年です。
このような大きなイベントがあると、これらに関連する問い合わせが増えます。
今回もその中から実際にあった問い合わせを取り上げます。

ball

世界的なスポーツイベントにからめたコピーに関する事例

次のような商品紹介記事(コピー)をカタログに掲載して問題ないでしょうか?
という問い合わせがありました。

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「●月×日~○月△日、FIFAワールドカップが□□□□で開催!
今回のワールドカップは、開催■回目となる記念すべき大会。
各国の白熱した戦いを、特製パッケージ入りのアイスを食べながら応援しよう!」

—————————————————————————————————————-

さて、みなさんはどう思われますか?
おそらく「何となくまずいのではないか」と、
多くの方が思われるのではないでしょうか?
では、一歩進んで、どうしてまずいのか、また、
どうすれば良いのか(リスクを回避できるのか)も考えてみましょう。

ブランドは、企業や団体等が築き上げてきた、
血と汗の結晶といっても過言ではありません。
そして多くの企業が、
多額のスポンサー料を支払って利用する権利を得ていることでもわかるとおり、
ワールドカップやオリンピックといった世界的なイベントのブランド価値は、
万人が認めるところです。

stadium

しかし一方では、スポンサー契約を結んでいないにもかかわらず、
これらイベントを想起させる宣伝活動・販促活動が後を絶ちません。
このような便乗商法はアンブッシュマーケティングと呼ばれています。
海外においては、オリンピックやワールドカップの便乗商法を規制する
「アンブッシュマーケティング規制法」を制定している国もありますが、
日本では、このようなアンブッシュマーケティング規制法はありません。
ということは、先にあげた商品紹介記事(コピー)は、
「法の抜け穴」を突いたものになるのでしょうか?

事例に対する見解と、日本国内での法規制

以下が、私から質問者への回答です。

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結論から申し上げると「FIFAワールドカップ」「ワールドカップ」を
商品紹介記事で使用した場合、商標法・不正競争防止法のどちらか
又は、両方の点で権利者から指摘を受ける可能性があります
厳密には、サッカーワールドカップについて、FIFAが
いかなる商標をいかなる指定商品について取得しているかを把握した判断が必要ですが、
確認できる範囲でもFIFAは日本国内で「FIFA WORLD CUP」「WORLD CUP」「W杯」等
少なくとも100件以上を商標登録しており、
また、指定商品(どの商品をその商標権の対象とするか)についても幅広く押さえています。
このため「FIFAワールドカップ」「ワールドカップ」の使用は
商標法に抵触しているとして指摘される可能性があり、控えていただくのが無難です。
仮に商標法上問題とならない場合でも、不正競争防止法違反として指摘を受ける可能性があることから、
 いずれにしても、使用は控えるべきでしょう。

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つまり、日本では「アンブッシュマーケティング規制法」はありませんが、
それに代わって、商標法や不正競争防止法を使って、
ブランドの権利を守ろうとしているのです(場合によっては、著作権法も登場します)。

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これには、いわゆるフリーライド(他人の名声へのただ乗り)を許してしまうと、
「正直者が馬鹿を見る」ことになり、
それが横行するとブランド・ビジネスが立ち行かなくなり、
ひいては、例えばスポーツイベントも開催・興行そのものがだんだんと先細りになり、
結果、世界中の人の楽しみが奪われることになる、
という、考えが背景にあると思います。
誰だって、素晴らしいワールドカップやオリンピックの興奮を味わいたいですからね。

ちなみに、回答にあたっては、ただダメと言っていたら、
制作の現場は困りますので、下記のような修正案も提案しました。
私はコピーライターではないので、センスもへったくれもありませんから、
実際にはこのまま使われることはありませんでしたが・・・

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「●月×日~○月△日、□□□□でサッカーの熱い戦いが繰り広げられる。
開催■回目となる記念すべき大会での各国の白熱した戦いを、
この特製パッケージ入りのアイスを食べながら応援しよう!」

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今回、カタログ制作にあたっては、
著作権法だけでなく、商標法・不正競争防止法の該当部分も
少なくとも押さえる必要がある、というお話でした。
2020年の東京オリンピック開催まで、
同じような、問い合わせや疑問も増えると思います。
今回の記事が、カタログ制作において、何らかの参考になれば幸いです。

※以下、参考サイトです。

JOCのマーケティングサイト
http://www.joc.or.jp/about/marketing/noambush.html

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「知的財産権の保護」
https://tokyo2020.jp/jp/copyright/

日本広告審査機構(JARO)のオリンピックについての案内
広告にオリンピック関連の表現を入れることは可能か
http://www.jaro.or.jp/ippan/bunrui_soudan/sonota01.html

NGのおそれのあるオリンピック広告の表現例
http://www.jaro.or.jp/ippan/saikin_shinsa/20130913.html

オリンピック関連の広告事例 ~2016リオ編~
http://www.jaro.or.jp/ippan/saikin_shinsa/20160421.html

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