商品カタログ写真の権利は誰のもの?~その2~


こんにちは。企業法務を担当しているMickeyです。

2回目のブログを書こうとしていたところ
「森のくまさん替え歌騒動、円満解決」というニュースを目にしました。
童謡『森のくまさん』に、
独自の歌詞と旋律を加えて替え歌を作った芸人とレコード会社に対して、
訳詩者が「著作者人格権」を侵害されたとして、
CD/DVDの販売差し止めと慰謝料を求めたのですが、
誠意を持った話し合いにより、円満解決したというものです。

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実は、この騒動には、著作権に関するいろいろなことが“てんこ盛り”で、
その背景や、司法の場でどのような応酬がなされ、どのような判断が出るのか、
私は興味津々だったのですが、
今回は、当事者や交渉にあたった企業側の担当者(おそらくは法務担当者?)にとってはもちろんのこと、
何よりファンにとって、理想的な決着になりました。
めでたし、めでたし。

ところで、この「森のくまさん替え歌騒動」で訳詩者が主張した「著作者人格権」。
この耳慣れない権利は、
商品カタログ写真の権利は誰のもの?
を検討する際にも必ず考慮しなければならないものです。
ということで、前回からの続きです。
まずは、これまでのおさらい。

◎「著作物」とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」すなわち「クリエイティブな表現」である。

◎イメージ写真だけでなく、いわゆる「物撮り」と言われる商品単独の写真も含め、ほとんどの商品カタログ写真は著作物であり、すなわち著作権がある。

◎カタログに使った商品写真を他に流用する場合や、以前の制作会社で作成したカタログに掲載の写真を流用する場合は、著作権がどこにあるかを判断しなければならない。

では、今回は、カタログ写真の著作権はどこにあるのかを考えていきましょう。

著作権はいつ発生するか?

突然ですが、クイズです。
Q. 著作権が発生するのは、次のどの時点でしょう?
①創作したとき
②公表・公開したとき
③公の機関に登録申請したとき
④公の機関に登録されたとき
※これは、当社の社内研修で行なったクイズですが、回答はバラバラでした。
正解は・・・「①創作したとき」です。

「著作物のあるところに著作権あり」。

著作権は、著作物の創作の瞬間に生じて、創作者に自動的に付与されます。
登録などの一切の手続きは不要です。
ですから、イラストや文章なら書き上げた瞬間に、
商品カタログの写真の場合は、撮影された瞬間に発生し、
創作者に自動的に付与されているのです。
その証拠というわけでもないのですが、
文化庁に「著作権なるほど質問箱」というWEBがあるのですが、
その「著作権の取得」という項目でも、次のとおり説明されています。

——————————————————————————-
「著作者人格権」と「著作権(財産権)」は、著作物が創作された時点で「自動的」に付与されます。
したがって、権利を得るための登録などの手続は、一切必要ありません (無方式主義 (第17条第2項))。

文化庁 「著作権なるほど質問箱」著作権の取得」より
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/ref.asp
(2017/02/09/アクセス)
——————————————————————————-

「あれ?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「『著作権』の取得」といっておきながら、
くまさん騒動にも出てきた「著作者人格権」と、
著作権にカッコ書きで「財産権」と記載があります。
どういうわけでしょう?

著作権とは?

ここまで、一口に「著作権」と言ってきましたが、
実は著作権は、次のような構造になっています。

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これを見ておわかりのとおり、
「著作権なるほど質問箱」にあった「『著作者人格権』と『著作権(財産権)』」というのは、
(広義の)著作権」の説明なのです。
では、なぜ、わざわざこのような記載にしたかというと、
文化庁は
「(広義の)著作権」は「著作者(クリエイター)の権利」であり、
それは、クリエイターの心と財産を守るためのルールから構成されている
ということを伝えたかったのではないかと、私は思っています。
心を守るのが「著作者人格権」、
財産を守るのが「著作権(財産権)」です。

著作者人格権」は、
著作物を公表するかどうか、氏名を表示するかどうか、勝手に変えないで、
という、いわゆる「キモチ」に関連する権利で、他に譲渡することはできません。
「心」は譲渡できませんから。
著作権(財産権)」は、
著作物の利用について定めたものです。
英語でこの著作権を「copyright」というように、代表的な利用方法が「複製」です。
これは、財産権ですから他に譲渡することができます。

 

copyright

商品カタログ写真の権利はどこに?

話があちこちに飛んでしまいました。
商品カタログ写真について整理しましょう。
著作権は、商品写真を撮影した瞬間に、
創作者であるカメラマンに自動的に付与されます
制作会社はカメラマンに撮影費を払いますが、
何も取り決めがなければ、著作権はカメラマンのところから動きません。
写真を使うには、著作権者であるカメラマンの承諾が必要になります。

これでは不都合が多いので、多くの場合、制作会社はあらかじめカメラマンと、
著作者人格権と著作権(財産権)についての取り決めを行い、
それを書面化し、契約書として取り交わしています
この契約により、商品カタログの写真の権利がカメラマンから制作会社に移動したり、
しなかったり、権利の不行使について決めたりするというわけです。
ですから、カタログに使った商品写真を他に流用する場合や、
以前の制作会社で作成したカタログに掲載の写真を流用する場合は、
安易に「はい、わかりました」とは言ってはならず、
「権利関係がどうなっているか確認します」と回答すべきなのです。

調べてみると、著作権(財産権)を制作会社に譲渡いただくケースもあれば、
そうでないケースもあるでしょう。
制作会社から、さらにクライアントに譲渡されているケースもあります。それによって、次の対応が変ってきます。

ただ、私は、商品カタログ写真の場合は、
撮影時に譲渡いただき(いわゆるカメラマンから買い取る)、
制作会社が管理することを原則とした方が良いと考えています。
カタログの再版や新たなカタログに流用するケースは少なくなく、
一方で、商品カタログには膨大な量の写真があり、
その一つひとつの権利関係を契約書にもとづき指定したり、
あるいはクライアント側で個別に管理したりすることは、
あまり現実的ではないからです。
もちろん、一方的に買い取りを主張するのではなく、
創作物と創作者をリスペクトし、くまさん騒動の関係者の方々のように、
誠意をもって説明し、「円満」な着地となるように心がけなければなりません。

次回は、著作権から離れますが、
次のような商品紹介記事(コピー)は問題ないでしょうか?
という、これも実際にあった問い合わせについて書きたいと思っています。
「●月×日~○月△日、FIFAワールドカップが□□□□で開催!
今回のワールドカップは、開催■回目となる記念すべき大会。
各国の白熱した戦いを、特製パッケージ入りのアイスを食べながら応援しよう!」

⇒ 次回に続く

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