フォントの字形の違い、知っていますか?~新しい字形「JIS2004」と古い字形「JIS90」~
こんにちは。メディア制作部のYokochiです。
本日は、フォントの字形に関するお話しです。
経済産業省が2004年に漢字コードに関するJIS規格の変更(字形の変更)を行ったため、普段なにげなくPCで入力しているテキストの漢字が、印刷物やPC環境によって字形が変わっていることにお気づきでしょうか?
これまで広く使用されていた字形の規格が「JIS90」。2004年に新しく登場した規格が「JIS2004」です。
(参考:https://www.rakucata.comblog/tips/255)
そもそもJISって何?
「JIS90」と「JIS2004」の違い
編集者がWindows7&テキストエディタで入力したテキストデータを、
DTPオペレータがInDesignにペーストすると…
撥ねや止めなど漢字の形が違うことが分かるでしょうか?
この2種類の違いは、フォントの持つ字形の差なのです。
「JIS90」は、日常的に使われるようになった略字化のルールを難しい漢字に適用したところがあり、しばしば批判の対象になっていました。これを改め、各文字を国語審議会で「正字」と認定された漢字に改めたものが「JIS2004」の字形です(対象は168文字あります)。
現在、学校で使われる教科書など文字を主体とした多くの印刷物はすでに「JIS2004」の字形が適用されています。さらに、Webやスマートフォンも「JIS2004」のフォントで表示されています。
しかし、その新しい字形「JIS2004」のフォントは12年たった現在でも、基本書体を含む一部のものにすぎません。デザインフォントなどは旧字形「JIS90」のママです。
どちらの字形を使えば良いの?
これまで弊社で作成してきた多くの印刷物制作においては、「JIS90」の字形により誌面設計・デザインが行われてきました。それにより表現される豊かな誌面デザインは、その後登場した「JIS2004」の書体だけではとても表現できるものではありません。また、制作環境を「JIS90」に統一する事で、キャッチと本文の字形をそろえることが実現できています。
以上の理由により、今後も特に指定がない限りは、キャッチやタイトルに使われるデザインフォントと本文の字形を揃えるために旧字形「JIS90」を採用しています。
字形の違いについてお客様などから指摘や問い合わせがあった場合は、事情を説明して対策を立てなければなりません。この時に注意すべきは固有名詞の扱いです。氏名や地名、商品名などで字形にこだわる場合もあるかと思います。
まずはお客様と共通認識を持ち、「JIS2004」をインストールするなど、必要に応じて対策をとるようにしましょう。